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あおいのお気楽更新日記。
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二月も終わりですねー。
就活に明け暮れる毎日が悲しい。明日も見えない。
バレンタインも過ぎちゃいましたしねー・・・。あげる相手もいなかったのもまた悲しい。


今年のキューイバはどんなバレンタインを過ごしたんでしょう。
きっと流行に敏感なキューが逆チョコを配りまくり、それはもうキューちゃんキューちゃんと慕う女の子にあげまくってイバちゃんは不機嫌になったに違いありません。
奴ならチョコにキスしてから「ハイ子猫ちゃんv」とかやりそうだ(寒っ(オイ


・・・ここから妄想を書いてたら長くなり、小説ができてしまいました。
HPにアップしろよって話です。ごめんなさい(土下座)

遅すぎますが、ハッピーバレンタイン!
つづきからどうぞー。




あほらしい。

杏子は商店街である光景を目の当たりにし、マスターと、キューを除いたマブダチにチョコをあげてさっさと家業の手伝いにいそしむことにした。
キューは何も知らずに、商店街の真ん中で女の子に囲まれキャーキャー言われている。
チョコをもらってはチョコをあげている、そのサービス精神には参る。ホワイトデーの時はどうすんだ?と思わないでもなかったが。

一番星にてチョコを配った際、クロは「あいつもアホだよなー・・・」と半目で呟いていた。全くだ。
「イバちゃんのチョコが食べられないなんてね!」とミケは言うが、いやいやそこじゃないよ。そこじゃない。
「キューはちょっとデリカシーがないよね」とマモルが呟き、「あ、今度マンガにキューちゃんをモデルにした人出そうかな・・・脇役で」とサトがキューが聞いたら可哀想なことを言った。「それは当て馬的な感じなのか?そうなのか?」とマスターが憐れんだようにつっこんだ。
わかってくれてる人がいるから、杏子は少し心が軽くなった。私の気持ち、誰にも言ってないはずなんだけどなあ、という疑問はもう気にしないことにしている。救われて、いるから。




数件の配達を終え、もう藍色の闇が銀河町を包み始めたころ、キューと家の前で遭遇した。というかキューが待ち伏せしてたらしかった。
キューは杏子に気づき、おっせーよ!と真っ赤な鼻をして駆け寄ってきた。

「イバちゃんどこ行ってたんだよー!せっかくチョコあげようと思ったのにいねえんだもん」
「配達に行ってたの。・・・いっぱいチョコもらったんでしょ?」
「もらったけどこっちもいっぱいあげたぜ。モテる男はこういう気遣いもできないとな!」
「(やらんでいいっつの)」
「ん?その袋なに?」
「・・・配達先でもらった。」

杏子が両手にぶらさげている数々の袋に、杏子はどうやら逆チョコはキューだけじゃないみたいよ、と苦笑した。
それに対してキューは顔を顰める。

「・・・なんだよ、じゃあ俺があげてもちっとも感動もなにもねえじゃん」
「あのね、それ以前にあんたがたくさんの女の子にあげてるの見たら感動も何もありません」
「それにそれ、男からもらったんだろ?」
「え?」

拗ねたような口ぶりに杏子は思わず目を見張った。
何を言ってるんだろう、こいつは。
それは、杏子が「たくさん女の子からもらったんだからいいでしょ?」とすっかり心を曲げてチョコをあげないと決める、子どもじみた心境と同じようなものだ。
まさかそんな言葉を聞くとは思わず――いや、早計は自らの首を絞める。期待してはだめだと杏子は心の中で首を振った。それにこいつは子どもじみた、ではなく。子どものようなものなのだから。
染まりそうな頬をなんとか知られないよう、冷静に口にする。

「・・・・キュー。これ、さ。坂井のおじいちゃんおばあちゃん、小泉のおじさん、真田のおじいちゃん、七瀬さんとこのアキラちゃんがくれたやつ・・・だよ」

すべて恋愛対象には入らない、人たちばかり。アキラちゃんなんてまだ小学三年生だ。
真相を告げたあとのキューの顔ったらおかしかった。ぽかんとして目を見開いて、やがて自分の早とちりにかああと顔を赤くした。

「そ、そっか。・・・わりい・・・あー俺恥ずかしい!」
「キューはいつも恥ずかしいよ」
「おいっなんだそれ!!」

杏子は笑ってしまって、そんな可愛い彼に百歩譲ってチョコをあげてもいいかと思えた。
置いてくるからちょっと待ってて、とさりげなく中に入って台所に置いといたチョコを手にする。それを見た桃子がふんわり嬉しそうに笑って「いってらっしゃい、」と言うから照れくさかった。
戻るとキューは白い息を吐いて待っていた。もう、月が姿を現していた。

「キュー、あげる」
「ん?え、チョコ?」
「そう。あと、これ。寒い中待っててくれたお礼」

キューの手に渡ったのはシンプルにラッピングされたチョコガナッシュと、じんわりと温かさが伝わるホットココア。
急いで用意したから味は保証できないけど。そう言ったら、キューは「イバちゃんの作るもんはいつも美味しいよ」と笑った。

「じゃあ、俺も。なんか今更だけどさ」
「ん、ありがと・・・って、あれ?」

確か女の子たちに渡してたのってチロルチョコじゃなかったっけ。可愛い、と女の子たちが騒いでいたのを見たように思うのだけれど。
いま手にしているのはそんなものじゃなく、ちゃんとバレンタインフェアで売っているような、女の子らしくラッピングされたチョコレート。
そのまま疑問を口にしたら、キューは飲んでいたココアを吹き出しそうになり。

「・・・なんで真っ赤になってんのよ」
「し、しらねーよ!つーかなんでイバちゃんそんなこと知ってんの!?そこまで見てないと思ってたのに」
「たまたまだよ。で、なんで違うの?」
「べ、別に深い意味なんてねえよ、あってもいわねーし気にしないで食え!」
「・・・・ココア没収してやろうか」
「あっ、熱い、触るなって、いやなんでもないわうん、ああああ持ってかないでごめんなさいイバちゃん!」


ぎゃあぎゃあ騒いで、父に「中に入ったら」と仲裁を受け、結局は仲良く晩御飯を食べ、うやむやになってしまったのだけれど。
特別なものをもらったと自惚れてもいいのかと、二人はそれぞれこっそり思案する、幸せな夜だった。


(ひとりだけ違うチョコ?)
(ホットココアなんておまけをもらったのは俺だけ?)



fin.



-------------------------

チョコ売り場に行った時「これ可愛いなあ。イバちゃんにあげてえなあ」と一人にだけ違うチョコを買っちゃったキューがいたらいいと思って。
しかもその理由に気づいてない無自覚さんだとなおいい。というか嫉妬も無自覚なら素晴らしく萌える。


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